私たちは、何気に空間領域を日常の中に持っている。
それは、自分の部屋/家といったくらしの中や、
オフィスの机や家族と囲む食卓のように誰かと共有する場所、
通い慣れた道を自分のお気に入りにしたり。
領域が曖昧なもの、不可侵なもの、時と場合によって気まぐれに変化するものとしてある。

空間を仕切って雨風をしのぎ、地面からわずかな隙間を設けて床を張る。
空間に、太陽や月の光を取り込み明を採る。大地を囲い庭を持ち、層を重ね高さを持つ。
地域/文化/宗教の差で形を変え、人は建物を建て個人において絶対領域を持つ。
それらの連なりが時間の経過を重ね、村へ、街へとも基礎づいてゆく。

やがて社会を構成し、思考する。
人が存在をする故に家/建物があるといえ、人の歴史とともに文化以前から存在する。
さて、今日の建築領域における社会状況はいかなるものか。
で、「今日」の有り様は?
いかに情報を獲得するかが現代社会おいてサバイバル的に重要だとされ、
なんでもあり過ぎるからネットワーク的な「繋がり」が崇められていると言える。
情報の獲得と判断する能力(リテラシー)がネットワーク的サバイバルな現代を生き抜くためには必要なのだろう…。
あふれかえる情報と同じ様に、地上には建物が増えすぎた。
経済活動の推移と同じ様に浮き沈みする箱。
人は人が生み出した希望と失敗を再生する必要があるらしい。
そのためには見つめる力と、思考する足、
微分化されたカテゴリーを横断するユーモアなアイデアが必要だ。
そんな要素を併せ持つ2人組みが京都で小さな事務所を開いている。
いまその事務所で初めての展覧会が開かれている。
僕は彼らを見ていると、自分の中に生まれる問いかけに真剣に応えたくなる。

RAD
http://radlab.info/

「a garden」 junko awatani
2009.6.18 – 7.5 Thursday – Sunday 13:00 – 21:00

会場:radlab.
京都市中京区恵比須町531-13,3F
tel : 075-241-9126e-mail :

会場での制作風景