ヒアリングの2回目は、「NPO地域環境デザイン研究所 ecotone」代表理事の太田航平さんにお話を伺いました。
お話を伺った場所は、太田さんが立ち上げから携わっている「京都三条ラジオカフェ」。
コーヒーを飲みながらゆっくりと会話は進んで行きました。

太田さんが代表理事を務めるecotoneの事業の一つに、「リユース」をテーマとした仕組みづくりとその実践があります。
「脱・使い捨て」をキーワードに、お祭りやイベントなどで使用される「使い捨て食器」に代わり、何度も洗って繰り返し使用出来る「リユース食器」を活用した環境対策支援を行う活動や、 まちなかのコンビニエンスストアに、マイボトルなどリユース容器を持っていけば飲料の中身だけ買えるシステムづくりを全国初で行うなど、先進的なモデルとして注目されています。

お話を聞いていて、おもしろいと思ったキーワードは「言い訳のデザイン」。

「判断の基準は善悪ではなく、損得で動く。善だけど損する。善の部分には共感しても、それを得する仕組みにしないと実際の行動にはなかなかつながらない。」
みんなが普段何気なくしている行動を少しだけ変えてみるってことは、実はとても難しい。
しなくてよくなるならまだしも、何かを付加するのは、めんどくさいし、忘れがち。
そこに何か得する、または損しない仕組みを加えることで、行動に移す理由が出来る。
そんなデザインもあるんだと納得し、感心させられました。

昨年、京都市役所内に大手コンビニチェーンや飲料メーカー、行政との協働のもと設置したコンビニに、マイボトル・カップを持ち込めばドリンクの中身だけ買えるシステムを社会実験として行ったとのこと。

「飲料の中身だけ買えるっていう行為に名前をつける。マイボトルは容器の名前。中身だけ買える飲み物の商品群は何なのか、それを付ければ、そういう商品群 が生まれて消費者に認知され、しっかりと機能する可能性があり、大きなライフスタイルの変革に繋がるかもしれない。」

「いままでは選択肢がなかったから、ごみまで買ってるっていうのがわからない。実はおかしいよねって問いかけたり、言葉にすると、確かにそうだ!という気付きがある。」

「商品として選択肢が整えば、中身だけ購入した方が自分にとって得かもしれないと計算し、既成概念に捕われることなく具体的な行為に移るということが分かった。」

現在、私たちの身の回りにはモノが溢れすぎています。
それは必要なものだったり、便利なものであったりする一方で、誰かにとっては迷惑で不必要なものだったりすることが往々にしてあります。

その誰かが、回りまわって実は自分になったりすることもあります。みんなにとって必要で便利なものって、実はものすごく少ないのかも。

太田さんの目標は「環境と言わない環境をつくる」こと。
「何気ない日々の行動や商品の選択などが、すべて環境に配慮したものになっている。防災、福祉、それは何にでもいえること。日常生活の中で当たり前なので言語化する必要がない。1から10までできるわけじゃないけど、その一端を担いたい。それは大きな目標。短期的な経済価値だけを追い求めるのでなく、長期的な価値を今つくることが自分の仕事」

社会構造的にも、20世紀型の産業構造、いわゆる大量生産/大量消費/大量廃棄をこのまま続けることを選択することは難しいと気づいているのに、なかなかその代わりのアイデアは浮かんできません。
でも、その答えは小さな世界で実践され始めていて、実は社会構造をこっそりと、でも確実に良い方向へ変えていってるのかも知れません。

何かわくわくします。


NPO地域環境デザイン研究所ecotone http://www.ecotone.jp