第一回目のヒアリング対象者はRADの川勝さんと榊原さん。
RADの事務所は河原町三条近くの路地を入った、1階がラーメン屋さんのビルの3階にあります。階段を抜け、扉を開けるとギャラリースペースと小さなキッチン。さらに扉を開けると押し入れに本がびっしり詰まった事務所スペースになります。

今日はその事務所でお二人にお話を聞きました。RADは建築にまつわるあれこれを調査・実践するユニットです。
例えば「景観」をテーマに、多彩なゲストを招いてのレクチャーシリーズを開催したり、建築のための展覧会を行うスペースを運営したり、アーティストととも にワークショップを開催したりと多岐に渡っているようです。このヒアリングでは、お二人の建築という領域においての、ものづくりの少し手前の話を伺うことができました。
例えば、「建築では、建物を建てることがゴールになりがちで、それを、建物が建てられるプロセスを基点にその前段階、人がどんな思いでそこに建物を建てようとしたのか、とか、建物が建てられた後の空間的な変化の捉え方、街を構成する主な要素としての建物のあり方、みたいなところをリサーチという方法で取り組んでいる。」
「建築が現在の日本では工業製品。でも、例えば美術作品としての価値、資料的な価値、文化的な価値など様々な価値を内包している。その価値を総合的に掲示 していきたい。それは建築の表現の幅でもあるし、建築家の可能性だと思っている」などなど。
なるほど。RADでお二人が実践されているのは、「建築的な思考」や「やり方」を使って、日常の諸問題へのアプローチでした。
「問題に対する解き方が、建築的な思考だとネガティブな要素もポジティブに変えることができる」常に前向きな二人の思考の原点が、この言葉に集約されてい るように思います。建物が増えすぎた社会構造です。人の数より箱の数の方が多くなっています。

ものが作られる時、その前後に目を向けることはとても重要な要素です。きっとそこにしっかりと目が向けられたものは、例えば何十年も長く使えるものだったり、循環する仕組みをもっていたり、なにより気持ちがよいものに間違いありません。
「僕は建築ってのを信じてるので」と、川勝さん。
それゆえに、現代の建築が置かれているネガティブな状況を、ポジティブに変えてくれるそんな期待がふつふつとわいてくる時間でした。

RAD:http://radlab.info