盆栽トークセッション
盆栽は<アート>か?
盆栽はインテリアか?
ちいさな巨木

|日時:2012年1月14日(土)15:00-18:00

|会場:Social Kitchen(京都市上京区相国寺門前町699)
>> http://hanareproject.net/

|アクセス:地下鉄「鞍馬口」徒歩5分

|入場料:800円

盆栽研究家 川﨑 仁美
美術家 苅谷 昌江
建築工芸 中村 裕太
視覚文化論 林田 新
日本美術史 水谷 亜希

表紙、裏紙 盆栽:真柏(石付盆栽)

 

【盆栽トークイベントについてのテキスト】「盆栽」という言葉を聞いて何を思い浮かべるだろうか。例えば、漫画やアニメで目にしたであろう、こんな場面を思い浮かべる人は少なくないだろう。少年たちが原っぱで野球を楽しんでいる。ピッチャーが投げたボールをバッターが力いっぱい打ち返し、勢い余ったボールが塀の向こうへと消えていく。しばらくすると怒りを露わにした老人が飛び出してくる。どうやら、彼が丹精込めて育てていた盆栽をボールが破壊してしまったようだ…。野球というアメリカ発祥の活発なスポーツと対比的に描かれるこうした場面を通して、盆栽について「地味」、「渋い」、「老人の趣味」といった、比較的ネガティヴなイメージを何となく抱いている人は少なくないだろう。

その一方で、盆栽は「BONSAI」として世界的な注目を集めている。wikipediaでは、50以上の言語で項目が立てられており、日本語のページよりも充実しているものも少なくない。あるいは、国内でもレストランやカフェの片隅にそっと飾られたり、雑貨屋にずらりと並べられたりしている。いわゆる「和モダン」という言葉が流行を見せる中、盆栽はまるで「お洒落なインテリア」のように扱われているようである。

このように、私たちは盆栽に対して時にネガティヴに、時にポジティヴに、様々なイメージを抱いている。しかし、それは漠然とした何となくのイメージでしかなく、結局のところ私たちは盆栽について何もわかっていないのではないだろうか。

どのように盆栽を楽しめば良いのか?盆栽と「BONSAI」は違うものなのか否か?そもそも、上記のような盆栽に対するイメージはいつ頃定着したのか?こうした問いを巡って展開される本トーク・セッションでは、盆栽研究家・川崎仁美氏をお招きし、盆栽研究、日本美術史、工藝論、視覚文化論といった様々な観点から議論を行っていく。盆栽を「古臭いもの」として性急に忌避してしまうのではなく、かといって、「日本的なもの」として安易に称揚してしまうのでもなく、改めて盆栽について考えを巡らせ、その深遠に迫っていきたい。

 

盆栽研究家 川﨑 仁美

1980年、京都生まれ。高校3年生より盆栽雑誌のモデルを務めながら独学し、2002年に「現代盆栽」を主宰。国内外で伝統盆栽の解説を行う。2009年より『日本盆栽大観展』(11月、京都)の企画・広報を担当。10年間のフィールドワークを経て、2010年より京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科に在学。美学、日本美術史の観点から盆栽研究を行う。横浜 春風社より著書を刊行予定。主な個展:“PORTRÉTY JAPONSKÝ CH BONSAJÍ” (2008、プラハ)

 

美術家 苅谷 昌江

1980年 高知県生まれ2004 京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画修了2009年 「now here, nowhere」 京都芸術センター・京都2009年「VOCA2009」 上野の森美術館・東京2010年「Twins in the Labyrinth」 GALLERY TERRA TOKYO・東京2011年 「SHIFT←311」 ART CAFE G-BOX・ 広島
苅谷昌江 Web Site >> http://yellowvalleys.net/

 

建築工芸 中村 裕太

1983年、東京生まれ。2011年、京都精華大学芸術研究科博士後期課程修了。博士号(芸術)。博士論文「郊外住居工芸論-大正期の浴室にみる白色タイルの受容-」。建築工芸という観点からタイルなどの建築工芸品の研究と制作を行なう。主な展覧会に「豆腐と油揚げ」(neutron kyoto、2009年)、「めがねや主人のペンキ塗り」(neutron tokyo、2009年)「1floor2010 質朴/技術」 (神戸アートビレッジセンター、2010年)。

 

視覚文化論 林田 新

1980年、大阪生まれ。同志社大学大学院博士課程に在籍。専門は視覚文化論、写真史/写真論。主な論文に「星座と星雲――「名取=東松論争」に見る「報道写真」の諸相――」(『映像学』第84号、日本映像学会、2010年)、「写真を見ることの涯に――中平卓馬論」(『写真空間』第4号、青弓社、2010年)など。共訳論文にサンドラ・S・フィリップス「森山大道 ストレイ・ドッグ」(『森山大道 オン・ザ・ロード』月曜社、2011年)。
林田 新 Web Site >> http://www.arata-h.com/

 

日本美術史 水谷 亜希

1982年、岐阜県生まれ。京都国立博物館アソシエイトフェロー(研究員)。専門は日本近世絵画。主な論文に「御伽草子『弥兵衛鼠』の擬人化表現について―慶応義塾大学図書館蔵本を中心に―」(『昔話―研究と資料―』35号、日本昔話学会、2007年)、「新出の〈やすらい祭絵巻〉・〈牛祭絵巻〉について」(『学叢』32号、京都国立博物館、2011年)など。担当展覧会「没後200年記念 上田秋成」 (2010年、京都国立博物館)研究と同時に、小中学校への訪問授業など、博物館の教育普及活動を行う。