日時 : 2010年 7月21日15:00-17:00(受付 : 14:00より)
会場 : 総合地球環境学研究所 講演室
http://www.chikyu.ac.jp/

講師 : 三谷龍二氏(木工デザイナー)
申込不要/聴講無料

「ものを作るということは、作家がものを作るというだけではないと思います。もっと広く、人間のもっと本能的 な部分につながっているのではないでしょうか。素材に触れるよろこびや、ものが自分の手から生まれるよろこびは、ものを使うよろこびと同じ質のものだか ら、こんなに複雑な社会のなかで、もっと単純に人が生きていけるということや、手間をかけて暮らすことの気持ちよさ、頭だけでなく手を動かすことの大切さ を伝えることも、もの作りの仕事といってもいいと思います。もっと単純な仕方で、僕たちは生きていける。どこか遠くへ行かなくても、ここにいて豊かな世界 に触れることできる。どれもみな、ものを作ることにつながっていることだと思うのです。」
—— 三谷龍二 手とこころの関係 より

エコブームとあわせて、日々の暮らしへとまなざしを向ける人がふえてきています。ですが、「環境にやさしい暮らし」、「丁寧な暮らし」、そんな作られた 「暮らし」イメージを追っかけているだけのことってないでしょうか。少しうがった見方をすれば、日々の暮らし、つまり自分にとっていちばん近くの「ここ」 がどこのことなのか、ともすると見誤ってしまう人が多いような気がします。「ものづくり」というフレーズにも、同じような危うさが潜んでいるかもしれませ ん。それでもやはり、ものを作るということには、私たちをもう一度しっかりと暮らしに接続する何か、こんな時代だからこそ、いまいちど立ちどまってよく考 える手がかりがひそんでいるように思うのです。今回のテーマは、そんな「もの作り的思考」のすすめ。木工デザイナーの三谷龍二さんといっしょに、現代の 「暮らしに寄り添う」もの作りについて考えていきます。

■講師プロフィール
三谷龍二 MITANI Ryuji
木工デザイナー。1952年福井市生まれ、その後大阪、京都を経て、松本へ。1981年長野県松本市に個人工 房ペルソナスタジオを開設、複数の職人たちとの共同作業により木の器をつくる。毎日の食卓で使われる木の器を提案し、全国のギャラリーで個展を開いている ほか、立体作品、平面作品も手がける。「クラフトフェアまつもと」の運営に当初より携わり、現代の暮らしと工芸のあり方を模索し続けている。著書に『木の 匙』(新潮社)、『僕のいるところ』(主婦と生活社)、『三谷龍二の木の器』(アトリエ・ヴィ)、『遠くの町と手としごと』(アノニマ・スタジオ)など。 最新刊として、2010年5月刊行の『僕の生活散歩』(新潮社)がある。
http://www.mitaniryuji.com/

「人と自然 : 環境思想セミナー」について
情報化、都市化が進む現代社会では、自然との関わりはもちろん、そもそも自然を感受する感性そのものが失われかねません。それと連動してのことでしょう か、便利になればなるほど、日々の暮らしからはリアリティが希薄になっていくような気すらします。そんな中、さまざまなジャンルで、新しいまなざしをもっ て自然からの触発をベースとして活躍する人たちがいます。そんな方々の現在進行形の「思い」を手がかりに、いま求められている自然との関わりの姿を探って いくのが、このセミナーの目的です。わたしたちが特に注目しているのは、日常と感性の力です。日々の生活の中で素朴に感じていることという視点を共有しな がら、参加者のみなさんといっしょに等身大の環境問題の意味を吟味していきたいと考えています。

アクセス
◯京都市営地下鉄烏丸線「国際会館駅」バスターミナル2番乗り場から、京都バス40系統(京都産業大学ゆき)もしくは50系統(市原ゆき)にて 「地球研前」下車スグ(所要時間 : 約10分)。
◯叡山電車「京都精華大前」もしくは「二軒茶屋」下車、徒歩10分。
◯自家用車のご利用はご遠慮ください。

http://www.chikyu.ac.jp/archive/topics/2010/seminar_hitotoshizen_100721_annai.html