ジョナサン・トーゴヴニク写真展「ルワンダ ジェノサイドから生まれて」
ジョナサン・トーゴヴニク写真展
「ルワンダ ジェノサイドから生まれて」
|日程:2010年11月20日(土)〜12月19日(日)
|時間:10:30〜18:30
|休館日:12月14日(火)-15日(水)
|場所:京都造形芸術大学 人間館1F ギャルリ・オーブ
京都市左京区北白川瓜生山2−116
>>> http://aube.kyoto-art.ac.jp/
|入場料:無料
|主催:京都造形芸術大学
|後援:ルワンダ共和国大使館
|協力:ハウス・オブ・アフリカンアート(HAA!)
|問合せ:京都造形芸術大学 ギャルリ・オーブ
Tel:075-791-9122(大代表)、 Fax:075-791-9127
E-mail:[email protected]
|詳細情報:公式ブログ
>>> http://jidainoseishin.wordpress.com/
|関連刊行物:
「ルワンダ ジェノサイドから生まれて」
インタビュー・写真 ジョナサン・トーゴヴニク
日本語版企画・翻訳 竹内万里子
発行所/赤々舎
>>> http://www.akaaka.com/
|about:
1994年、中央アフリカの小国ルワンダでジェノサイド(集団殺害)が起きました。100日間で少なくとも80万人の人々が隣人によって殺されたこの出来事は、20世紀最大の悲劇のひとつとして知られています。
もともとフツ系の人々とツチ系の人々は、民族として明確な区別をもって対立していたわけではありません。ベルギーの植民地政策やフランスの軍事支援などを通して政治的対立が煽られた結果、フツの過激派が少数派ツチの人々を虐殺するという事態が起こったのです。にもかかわらず、当時の国際社会はこのジェノサイドを巧妙に黙殺しただけでした。
じつはその際、大勢の女性が「武器」として性的暴力を受け、その結果およそ2万人の子供たちが生まれたという事実は、いまなおほとんど知られていません。母親たちの多くは、いまだに深刻な肉体的・精神的トラウマを抱えながら、社会的に孤立した状態で子供を育てており、その半数以上はHIV/エイズにかかっているとも言われています。
ニューヨークを拠点に活躍中の写真家ジョナサン・トーゴヴニクは、取材で訪れたルワンダでこのような現実を初めて知り、大きな衝撃を受けます。そこでみずからのプロジェクトとして、3年間をかけてこうした境遇にある女性たちへのインタビューと撮影を行ないました。その結果生まれたのが、「ルワンダ ジェノサイドから生まれて」(Jonathan Torgovnik, Intended Consequences: Rwandan Children Born of Rape) です。英語版の写真集は2009年にAperture Foundationから刊行され、ドイツ語版とスペイン語版も同時に刊行されました。展覧会は今なお欧米各地を巡回しています。日本語版の写真集は2010年9月に赤々舎より刊行され、展覧会は2010年11月から京都造形芸術大学ギャルリ・オーブにおいて、さらに2011年1月から銀座ニコンサロンにおいてそれぞれ開催されます。
これらの女性たちにとって、自らカメラの前に立ち、その経験を語るということがどれほど重い意味とリスクを伴うかは、想像に余りあります。実際、ジェノサイドから10年以上が経った今でも、二次被害への恐れや周囲からの偏見が足かせとなり、十分な支援を受けられず貧困に喘いでいる母子は少なくありません。しかしだからこそ、さらに傷つくことを覚悟で自分たちが声をあげなければ事態は何も変わらないという思いが、彼女らを突き動かした要因のひとつであることは確かでしょう。
こうした困難な現実に触れて、トーゴヴニクはもともと自らに課していた写真家という立場を踏み越えることにもなりました。性的暴力から生まれた子供たちの中等教育を支援するため「ルワンダ財団」(Foundation Rwanda)を立ち上げたのです。同財団はさらに母親たちの医療や精神的なケアを手助けし、ジェノサイドや性的暴力に関する意識向上のための活動も続けています。
この写真集/写真展を通して、カメラに向けられたひとりひとりの力強いまなざしに触れ、沈黙のなかで語られた彼らの言葉へと、まずは静かに耳を傾けていただければと思います。そこから聞こえてくるのは、単なる絶望ではなく、人がもち得る本当の強さとは何かという問いに対するひとつの返答でもあるでしょう。
ジョナサン・トーゴヴニク(Jonathan Torgovnik)
1969年イスラエル生まれ。ニューヨークのスクール・オブ・ビジュアルアーツ(School of Visual Arts)で写真の学位を取得。以降フリーランスの写真家として活動を始め、インドの映画産業をドキュメントしたシリーズ「Bollywood Dreams」は世界中の雑誌に掲載されて評判を呼び、2003年にPhaidon社より同名の写真集として刊行された。2005年には「ニューズウィーク」(Newsweek)誌の契約写真家となり、現在はニューヨークの国際写真センター(International Center of Photography)で後進の指導にも当たっている。2007年にはルワンダで撮影された母子のポートレート一点が、ナショナル・ポートレイト・ギャラリーのポートレイト写真賞を受賞。欧米各地で個展、グループ展にも数多く出品しており、ヒューストン美術館やフランス国立図書館に作品が収蔵されている。
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