jalousie-drawing
2011
30 x 20 x 3 cm
charcoal on paper, wood
©Stephan Balkenhol
Courtesy of Tomio Koyama Gallery

 

シュテファン・バルケンホール展

|会期:2011年2月19日(土) – 3月19日(土)

|時間:11:00−19:00 (火−土曜日)
|休廊日:日・月曜日、祝日

|場所:小山登美夫ギャラリー京都(京都市下京区西側町483)
>>> http://www.tomiokoyamagallery.com/

|オープニングレセプション:2月19日(土) 6:00 – 8:00pm
アーティスト・トーク ギャラリー内:2月19日(土) 5:30pm – (ご予約不要)

 

シュテファン・バルケンホールは、一本の木から台座ごと彫り出す立像、その背景としての役割を担うようなリリーフ、また絵画のように顔のポートレートだけが彫り込まれたレリーフなどを制作しています。モチーフとなるのは人物、動物、建築などです。「普通の人(”everyday man”)」と彼が呼ぶ人物たちは、個性や表情、服装や持ち物などの説明的要素を一切排除されています。それでいて生き生きとしたそれらの人物たちは、普遍的で親しみやすいようにも思えるし、不思議で孤独な、遠い存在にも思えます。また一方では、バケツを被った男性(”Man with bucket on his head” 2007)など、ありふれたものを意外な風に組み合わせ、遊びやユーモアの要素を与えられた作品もあります。
このようなバルケンホールの具象彫刻の制作の背景には、1970年代ミニマリズムやコンセプチュアリズムの台頭、それに繋がる具象の解体や排除の流れがあります。また一方においては、彫刻が政治的モニュメントや図像的にしか使われなかったという19世紀の歴史があります。これらのコンテクストへのレスポンスとして、バルケンホールはミニマリスティックな要素も兼ね備えた具象彫刻を追究し続けてきました。説明ではなく描写、そして彼の言う「現実と美」の表現へのアプローチが、鑑賞者の様々な感情や表情を喚起する詩的な作品を生み出してきました。
特定の物語を持たないバルケンホールの作品は、彼が素材に徹底的に向き合っていることをも感じさせます。鑿(のみ)あとや、ささくれにそのまま彩色が施された作品は、繊細かつ力強く、彼が自発的な作品の生成を重要視していることを示しています。素材、制作のプロセス、展示される空間などと一体になって初めて完結するバルケンホールの作品は、在るということの可能性への研究でもあるのです。

本展は、前回の東京、清澄の小山登美夫ギャラリーでの個展より約3年半ぶりの個展となり、バリエーション豊かな作品が展示される予定です。是非ご高覧ください。

 

|作家プロフィール:
シュテファン・バルケンホールは1957年、ドイツのヘッセン州、フリッツラー生まれ。1976-82年、ハンブルク造形芸術大学に学び、現在メゼンタール(フランス)とカールスルーエ(ドイツ)にて制作活動を行っています。92年より、国立カールス ルーエ造形芸術大学において彫刻の教授も務めています。
日本では05年に初の個展「シュテファン・バルケンホール:木の彫刻とレリーフ」が、国立国際美術館(大阪)と東京オペラシティーアートギャラリーで開催されました。現在グルノーブル美術館(10年10月30日-11年1月23日、フランス)で個展を開催中の他、Deichtorhallen Hamburg (08年 – 09年、ドイツ)、スプレンゲル美術館(03年、ドイツ)、ハーシュホーン美術館(95年、ワシントンDC)などで個展を多数開催しています。また主なグループ展に、87年のカスパー・ケーニッヒ企画のミュンスター彫刻プロジェクト(ドイツ)や、ジェフリー・ダイチ企画の巡回展「ポスト・ヒューマン」(92年)、95年のカーネギー・インターナショナル(ピッツバーグ)があります。ギャラリーではGladstone Gallery(ニューヨーク)、Stephen Friedman Gallery(ロンドン)、Galerie Thaddaeus Ropac(パリ)などで多数展覧会を開催しています。小山登美夫ギャラリーでは2007年に続き2度目の個展となります。

 

tall figure
2007
poplar wood, painted with pedestal (pine wood)
264.5 x 100.0 x 52.0 cm
photo by Ikuhiro Watanabe
©Stephan Balkenhol
courtesy of Tomio Koyama Gallery

Installation view at Tomio Koyama Gallery, 2007
photo by Ikuhiro Watanabe
©Stephan Balkenhol
courtesy of Tomio Koyama Gallery