トーク&ディスカッション:MACとhanareと保育所設立運動

|日時:2011年2月24日(木)19:00~21:00

|場所:Social Kitchen(京都市上京区相国寺北門前町699)
>>> http://hanareproject.net/

Memachi Art Centerの運営者である会田大也さんと、保育所開設運動の中心メンバーである坂東昌子さんをゲストに迎え、hanareが運営を行うSocial Kitchenにて話を聞きます。

|ゲスト:
会田大也(ミュージアムエデュケーター)
坂東昌子

|参加費:1,000円(軽食付き)

|タイムテーブル:
第1部:19:00~19:30
トーク:「MAC(Memachi Art Center)について」
ゲスト>会田大也 聞き手>須川咲子(hanare)

第2部:19:30~20:00
トーク「保育所設立運動について」
ゲスト>坂東昌子さん 聞き手>須川咲子(hanare)

第3部: 20:30~21:00
ディスカッション

|URL:>>> http://hanareproject.net/event/2011/02/post-28.php

 

美術館やギャラリーのような文化施設の他に、自宅や身近な空きスペースを定期的に開放し、展覧会、ワークショップ、レクチャー、飲み会を実施するような「ミニ文化施設」が日本で増えているようだ。山口県にあるMemachi Art Center(*1)や、京都で4年半ほど継続した「喫茶はなれ」(*2)もその代表例かもしれない。
このような「ミニ文化施設」は様々な表現活動の場を確保することや、目的をあえて曖昧にすることが共通項として考えられる。他にも、集客だけを目的としない、公的文化施設にはない緩やかでフラットな人の繋がりを重視する、パブリックとプライベートの境界を曖昧にする、等が挙げられるだろう。このような特徴は、弱さを肯定し、消費至上主義から距離を取るといった、現代社会を反映するものとして注目を浴びる一方で(*3)、文化芸術関係者の内輪的な集まりとして、その広がりの欠如が指摘されることも少なくなくない。

 

今回のトークでは、上記の「ミニ文化施設」が本当にかっこいいのか、誰かの何かを揺らがせているのか、不可能なものへの挑戦があるのか、検討する機会としたい。そのための参考事例として、1960年代に京都で起った「保育所開設運動」にスポットライトを当てる。学生運動を始めとする様々な社会運動がまだ力を持っていた時代、若い女性研究者達が自宅を開放して共同保育所を始め、そこから「朱い実保育園」「修学院保育園」という2つの保育園設立に繋がった。この一連の過程には創造的なアイデアや工夫があり、小さな民主主義の実践がある、社会の仕組みも変えた。明確な目的を持った社会運動の中に存在していた創造的な力と社会的実践を前に、「ミニ文化施設」がより美しく、かっこよく存在するためのヒントが見えてこないだろうか。

 

|プロフィール:
会田大也
1976年生まれ。ミュージアムエデュケーター。東京造形大学、IAMAS(情報科学芸術大学院大学)卒業。2003年より、山口情報芸術センター[YCAM]勤務。2009年よりMaemachi Art Center(MAC)に入居&運営。おもな企画として、藤井光「meet the artist 2010 自分のメディアを創る」プロジェクト(YCAM)、オリジナルワークショップ「walking around surround」(YCAM)など。


坂東昌子
1965年京都大学理学研究科博士課程修了、京都大学理学研究科助手、87年愛知大学教養部教授、91年同教養部長、2001年同情報処理センター所長、 08年愛知大学名誉教授。専門は、素粒子論、非線形物理(交通流理論・経済物理学)。研究と子育てを両立させるため、博士課程の時に自宅を開放し、女子大学院生仲間らと共同保育をはじめ、1年後、京都大学に保育所設立を実現させた。研究者、父母、保育者が勉強しながらよりよい保育所を作り上げる実践活動で、京都大学保育所は全国の保育理論のリーダー的存在になる。その後も「女性研究者のリーダーシップ研究会」や「女性研究者の会:京都」の代表を務めるなど、女性研究者の積極的な社会貢献を目指す活動を続けている。02年日本物理学会理事男女共同参画推進委員会委員長(初代)、03 年「男女共同参画学協会連絡会」(自然科学系の32学協会から成る)委員長、06年日本物理学会長などを務める。「4次元を越える物理と素粒子」(坂東昌子・中野博明 共立出版)、「理系の女の生き方ガイド」(坂東昌子・宇野賀津子講談社ブルーバックス)、「女の一生シリーズ-現代『科学は女性の未来を開く』」(執筆分担、岩波書店)、「大学再生の条件『多人数講義でのコミュニケーションの試み』」(大月書店)、「性差の科学」(ドメス出版)など著書多数。

 

*1)Maemachi Art Center(MAC)
2階建て一軒家のアートセンター。アート関連の交流の生まれる場、またはゲストハウスとしてスタートし、徐々に機能が拡張している。工作教室として地元キッズたちのたまり場となったり、その親たちが自主的な活動を展開する場として活用したり、現在は子育ての場所としても運用中。使う人によってイメージが異なるということを全肯定し、枠組みがつねに流動しつつも「面白いこと」が継続していくことを目的としている。運営者自身が流転/交流していくことも特徴のひとつ。

*2)hanare
2006年に毎週月曜日のみオープンするコミュニティカフェ「喫茶はなれ」の運営を開始。ウィークリーカフェ、ワークショップ・レクチャー、ビジュアルプロジェクト等の企画・運営を通し、生活に関わることすべて(食、芸術、現代思想、身体、政治/経済、建築、他全部)について実験的でワクワクする活動を行っている人達と協働しながら、新しい考え方、表現方法を模索し、実践。あくまでも京都に生きる私たちの生活に深く根ざしながら、世界の地方都市ともダイレクトに繋がり、インディペンデントな場所、抗う力を養う場所づくりを目的とする。 2010年8月よりSocialKitchenの運営を開始。


*3)Dialogue Tour 2010
artscape開設15周年記念企画「Dialogue Tour 2010」では、全国の「ミニ文化施設」を特集。以下の詳細参照。
※このトークイベントは、artscape開設15周年記念企画「Dialogue Tour 2010」の一部として実施します。企画の詳細は以下のリンクをご覧ください。
http://artscape.jp/info/1216069_2951.html
http://artscape.jp/dialogue-tour2010/1222360_3388.html
http://artscape.jp/dialogue-tour2010/1221335_3388.html