「人と自然:環境思想セミナー」 vol.34 「エピローグ—そこに在るもの」
「人と自然:環境思想セミナー」
vol.34 「エピローグ—そこに在るもの」
日時:2010年9月24日(金) 15:00~17:00(受付/14:00より)
場所:総合地球環境学研究所 講演室 >>> http://www.chikyu.ac.jp/
京都市北区上賀茂本山457-4
話し手:
尹煕倉(美術家、多摩美術大学 准教授)
森 桜(アート・コーディネーター、森オフィス 代表)
鞍田崇(総合地球環境学研究所上級研究員)
備考:
定員120名/申込不要/聴講無料
■概要
あたりまえの存在の深みへ
「大切なことは、特別なことよりも、むしろありふれたことの中にある気がしています。 作品からの一方向の主張でなく、観る人の意識に応じて、作品が語りかけたり、時には黙したりしても良いと思うのです。「在ること」と「無いこと」の往還。かえってその方が、人の意識の深いところと繋がることができると思うからです。」
尹煕倉
そこに在るもの。日々の暮らしの中でもっとも近くに在るもの。もっとも近くに在りながらも、決して表立つことのないもの。たしかにそこに在るもの。ただし、つねに背景としてそこに在るもの。そして、ひとたびそれに注目し、それついて語り出した途端、あとかたもなく消え失せてしまうもの——。
「そこに在るもの」という名のもとに、陶で作った四角い形に託して尹煕倉さんが一貫して追求してきたのは、そうした存在です。どこまでもあたりまえのものであって、あたりまえで‘ない’ものに目を奪われがちな日々の経験の中では、いわば脇役にとどまりつづける存在。尹さんの言葉を借りれば、「やる気のない」存在(「やる気のない庭」をめぐって/多摩美術大学紀要第23号 2008)。しかしそんな存在こそが、私たちにとってもっとも身近で親密なものではないでしょうか。
それはまた、「環境」の在りよう、暮らしの中でのその出会われ方を示すものでもあるような気がします。考えてみれば、環境のそうした本質をゆがめることなく、現代社会における環境との関わり方のあるべきカタチを探ることがこの連続レクチャー・シリーズのねらいでした。
本シリーズ最終回である今回は、尹煕倉さんと彼の優れた理解者である森桜さんをお招きします。
尹さんとの仕事、とりわけ建築空間とのコラボレーションの企画を数多く手がけてこられた森さんは、尹さんの「素材を見極める鋭い皮膚感覚と、空間を読み解く高い身体能力にいつも驚かされてきた」と言います。
今回は、お二人といっしょに、尹さんの作品世界をたどりつつ、本シリーズの意図をあらためて想起し、いまこの時代だからこそ語られるべき環境との関わり方を探っていきたいと思います。
あたりまえの存在の深さと豊かさを確かめること、それが最後のテーマです。
(企画担当:鞍田崇)
>>> http://www.chikyu.ac.jp/archive/topics/2010/seminar_hitotoshizen_100924_annai.html
■プロフィール
尹 煕倉 YOON Heechang
美術家,多摩美術大学准教授
1963年兵庫県生まれ、1988年多摩美術大学大学院修士課程修了、1995-96年文化庁芸術家海外派遣研修で滞英、1997年英レスタシャーのラフ ボロウ美術大学と煉瓦工場で滞在制作、2010年文化庁の派遣により大英博物館で調査。「四角」という形と「陶」という素材にこだわりつつ、立体や陶粉に よる絵画を制作している。
主な個展に、「呼吸する壁」(岐阜・ギャラリーキャプション 1993)、「そこに在るもの」(静岡県立美術館 1997)、「何か」(東京・ギャラリー小柳 2000)のほか、近年の展覧会に「素景」展(銀座・資生堂ギャラリー 2006)、「余白の美」展(静岡県立美術館 2009)、個展「はざかい」(岐阜・ギャラリーキャプション 2009)など。また建築空間でのアートワークに「兵庫大学」(設計 竹中工務店 兵庫・2001) などがある。
森 桜 MORI Sakura
アート・コーディネーター、森オフィス代表
1965年千葉県生まれ、1988年筑波大学芸術専門学群総合造形コース卒業(山口勝弘と河口龍夫に師事)、1988-94年西武百貨店美術部勤務、1996年森オフィス設立。以後、美術や建築の展覧会企画や本の編集等にかかわる。
展覧会の企画に「memento mori」(京都・法然院 2004)、「堀部安嗣の3つの家と3つの本」(東京・南洋堂書店N+ 2005)、「聴竹居との出会い−栗本夏樹・漆芸展」(京都・聴竹居 2009)、講演会の企画に「新・前川國男自邸セミナー」(東京・新前川國男自邸 2010)、本の編集に『土谷武作品集』(美術出版社 1997)など。
鞍田 崇 KURATA Takashi
哲学者、総合地球環境学研究所(地球研)上級研究員
1970年兵庫県生まれ、1994年京都大学文学部哲学科卒業、2000年同大学院人間・環境学研究科博士課程退学。2006年より現職。人間・環境学博士。暮らしの“かたち”を問いなおすという視点から、環境問題の思想的意味を吟味している。
編著に『ユーラシア農耕史』(全5巻 臨川書店 2008-2010)、共著に『新版古寺巡礼 高山寺』(淡交社 2009)、翻訳に『たべることは つながること』(共訳 福音館 2009)など。なお、2010年9月より月刊誌『ソトコト』(木楽舎)で連載コラム「21世紀の暮らし哲学」がスタートする。
【お問い合わせ先】
鞍田 崇(地球研・上級研究員、環境思想セミナー担当)
〒603-8047 京都市北区上賀茂本山457-4
総合地球環境学研究所
TEL:075-707-2382 FAX:075-707-2508
Email:[email protected]
>>> http://www.chikyu.ac.jp/
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