京都国立近代美術館
井田照一の版画

|会期:2012年5月22日(火)~6月24日(日)

|会場:京都国立近代美術館
京都市左京区岡崎円勝寺町
>> http://www.momak.go.jp/

2011年,京都国立近代美術館は日本の現代版画を代表する一人であった故・井田照一(1941-2006)の版画作品約300点の寄贈を受けました。

井田照一は1965年に京都市立美術大学西洋画専攻科を修了,印刷所の見学などによる独習で石版画の技法を習得し,当時の美術界で重視されていた情念的で直截な表現とは対極の,知的でクールな表現を石版画で制作し注目されます。1968年および1970年の東京国際版画ビエンナーレに招待され,海外の版画展でも受賞を重ねる井田は,日本の現代版画の新星として大きな期待を集めました。しかし,フランス政府奨学金を受賞し1969~70年のフランスとニューヨークでの遊学を終えて帰国した後,井田は日本の現代版画の熱狂とは距離を保つようになり,1970年代には版画そのものを版画で検証するような実験的な作品を多数試みました。これらの井田作品はまるで,当時絶頂期にあった日本の現代版画が,版画であることに固執するが故に自壊していく未来を冷ややかに予見していたようにさえ見えます。

すでにこの時期の井田作品は常套的な版画の彼方にあり,その作品は1980年代以降の美術動向の中で写真や映像表現が提起したイメージを巡る視覚芸術の根源的な問題を含んでいます。井田は1974年以降の約30年を版画制作だけではなく,油彩,陶,ブロンズ,紙パルプなどのさまざまな素材を自在に用いながら重層的で哲学的な作品の制作に挑み続け,通常の版画家という枠組みでは捉えきれない美術家でした。

今回の展覧会では1962~92年の30年間に制作した版画160点により井田照一の業績を通観し,同時に,1970年代前半に豊饒な表現を生み出した日本の現代版画について,井田照一という美術家を参照軸に再検証します。

 

|開館時間:
9:30~17:00(入館は16:30分まで)
金曜日の夜間開館日
9:30~20:00(入館は19:30分まで)

|休館日:毎週月曜日

|主催:
京都国立近代美術館
京都新聞社

|観覧料:
一般:当日/850円、前売/700円
大学生:当日/450円、前売/350円
高校生以下:無料

 

|関連イベント:
講演会
「井田照一を語る」
乾 由明氏(美術評論家)

[日時]:2012年6月2日(土)午後2時~3時30分
[会場]:京都国立近代美術館1階講堂
[定員]:100名(聴講無料、当日午前11時から受付にて整理券を配布します)