ヤン・シュヴァンクマイエル傑作選

|期間:2011年10月22日(土) – 11月4日(金)

|場所:京都みなみ会館
京都市南区西九条東比永城町79
>> http://kyoto-minamikaikan.jp/

チェコアニメ界の異端であり、絵画・立体などにも及ぶその創作の熱は常に世界中のアーティストからも賞賛され注目されるシュルレアリスト、ヤン・シュヴァンクマイエル。長編6作目となる最新作『サヴァイヴィング・ライフ 夢は第二の人生』(2010)の公開を記念し、みなみ会館では特集上映を開催!過去の長編作『アリス』(1988)、『悦楽共犯者』(1996)、『オテサーネク 妄想の子供』(2000)に加え短編作品2プログラムを上映!その特異な世界を是非ご堪能下さい。

 

○Aプロ「オテサーネク 妄想の子供」

2000年/チェコ/132分/チェスキー・ケー=レン コーポレーション
監督・脚本・原作:ヤン・シュヴァンクマイエル
撮影:ユライ・ガルヴァーネク
出演:ヴェロニカ・ジルコヴァー/ヤン・ハルトゥル/ヤロスラヴァ・クレチュメロヴァー/バヴェル・ノヴィ/クリスティーナ・アダムツォヴァー

木の切株から彫りだした赤ちゃんをかいがいしく世話する夫婦。隣に住む少女だけは、夫婦のこの奇妙な行動に、チェコに古くから伝わる民話“オテサーネク”との符号を感じていた。それは、子どものいない夫婦が切株を育て、最後にはその切株に食べられてしまうというもの。やがて、夫婦の切株も民話と同じように生をうけ、周りのものをどんどんと食べ尽くしていく…。アニメと実写を組み合わせてチェコの民話を映画化した異色のダーク・ファンタジー。

10/22(土)18:45~
10/27(木)18:45~

 

○Bプロ 「悦楽共犯者」

1996年/チェコ、イギリス、スイス/87分/アットアームズ
監督・脚本・美術:ヤン・シュヴァンクマイエル
音楽:ブラザーズ・クエイ、オルガ・イェリンコヴァー
特殊造形:エヴァ・シュワンクマジェロヴァ
アニメーター:ベドジフ・ガラセル、マーティン・クブラーク
出演:ペトル・メイセル/ガブリエラ・ヴィルヘルモヴァー/バルバラ・フルザノヴァ/アナ・ヴェトリンスカー/イジィ・ニーブス

シュヴァンクマイエルが25年温め続けた怪作。欲望のままにさまざまな“自慰機械”の発明に没頭する男女6人の密かな愉しみを実写と古典的なモデル・アニメーションとで描く。ありふれた日常を、不条理で“ブラック・グロテスク”な世界に変貌させてしまう独自のテクニックは流石のひとこと。

10/26(水)18:45~
11/1(火)18:15~
11/4(金)18:15~

 

○「アリス」

1988年/スイス/85分/ザジフィルムズ
監督・脚本:ヤン・シュヴァンクマイエル
原作:ルイス・キャロル
出演:クリスティーナ・コホトヴァー

ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』をモチーフに実写表現と、ストップモーションによる人形アニメが交錯する悪夢的ファンタジーの傑作。シュヴァンクマイエル長編第一作。少女アリスが人形で「アリス」ごっこをはじめると、突然ガラスケースの中の白ウサギが動き出す。“不思議の国”ではおなじみの登場人物や小道具たちはそのままに、シュヴァンクマイエルの世界が広がる。

10/25(火)18:45~
10/28(金)18:45~
10/31(月)18:15~

 

○『短編集①』 配給:チェスキー・ケー、レン コーポレーション

『短編集①』詳細 (計・1時間31分)

・「シュヴァルツェヴァルト氏とエドガル氏の最後のトリック」
1966年/チェコスロバキア/12分
監督・脚本・原案:ヤン・シュヴァンクマイエル
撮影:スヴァトプリク・マリー

奇術の技を競い合う二人の仮面の男がついにはお互いを破壊するに至る様を描いたスラップスティック・コメディの短編。シュヴァンクマイエル処女作。

 

・「J.S.バッハG線上の幻想」
1965年/チェコ/10分
監督・原案・美術:ヤン・シュヴァンクマイエル
撮影:スヴァトプリク・マリー
音楽:J・S・バッハ

バッハの楽曲にあわせ、即興的に撮影された短編。ひび割れた壁、錆びた鉄枠、音の波形が壁の傷に重なり、路面の連なりが音符に共振する。

 

・「庭園」
1966年/チェコスロバキア/ 17分
監督・脚本:ヤン・シュヴァンクマイエル
撮影:スヴァトプリク・マリー

屋外で大勢の男女が手をつなぎ輪になって踊る様を不気味なタッチで描いた一編。製作後20年間上映が禁止されたいわくつきの作品。

 

・「家での静かな一週間」
1969年/チェコ/ 20分
監督・脚本・原案・美術:ヤン・シュヴァンクマイエル
アニメーション監督:ズデニェク・ショプ
撮影:スヴァトプリク・マリー、カレル・スザン
出演:ヴァーツラフ・ボロヴィチカ

男がある家の部屋をのぞくと、ありふれた物が独自の論理で動く超現実的な世界がそこにはあった。一日に一つの部屋をのぞき、六日が過ぎる。そして一週間目に、男はドアに開けた穴にそれぞれダイナマイトを差し込む。

 

・「ジャバウォッキー」
1973年/チェコ /14分
監督・脚本・美術:ヤン・シュヴァンクマイエル
音楽:ズデニェク・リシュカ

『鏡の国のアリス』に登場する怪物・ジャバウォッキーの詩が朗読され、子供部屋のおもちゃが動き始める。傍若無人だが人工的なおもちゃの動きを、黒猫がときおり中断するが、乱暴さは徐々に統御されて遊び着はいつしか背広に変わる。

 

・「オトラントの城」
1979年/チェコ/18分
監督・脚本・美術:ヤン・シュヴァンクマイエル
アニメーション監督:クセニエ・ヴァヴレチコヴァー、カレル・ホホリーン
音楽:ズデニェク・リシュカ
出演:ミロシュ・フリーバ/ヤロスラフ・ヴォザーブ

ホレス・ウォルポールの幻想小説『オトラント城綺譚』の舞台が、実は東ボヘミアに実在する城だという仮説を、現地で学者が解説するテレビ番組という構成。古文書の挿絵が切り絵として動き、学者のもっともらしい解説と皮肉な対照を成す。

10/23(日)18:45~
10/29(土)18:15~
11/2(水)18:15~

 

○『短編集②』 配給:チェスキー・ケー、レン コーポレーション

『短編週②』詳細 (計・1時間28分)

 

・「棺の家」
1966年/チェコ/10分
監督・脚本・原案:美術:ヤン・シュヴァンクマイエル
アニメーション監督:ボフスラフ・シュラーメク
出演:ナジャ・ムンザロヴァー/イジー・プロハースカ

1匹のモルモットをめぐって争う道化たち。指人形を使い、木槌で殴りあうスラップスティック・グロテスク・コメディ。

 

・「エトセトラ」
1966年/チェコ/7分
監督・脚本・原案・美術:ヤン・シュヴァンクマイエル
アニメーション監督:ヤン・アダム

フロッタージュの技法を使った作品で、「翼」「鞭」「家」の3つのエピソードから成る。

 

・「ドン・ファン」
1970年/チェコ/33分
監督・脚本・美術:ヤン・シュヴァンクマイエル
撮影:スヴァトプルク・マリー
ナレーション:フランティシェク・フィリポフスキー

放蕩息子のドン・ファンは、許嫁を弟に奪われ、父にも見放され、復讐を誓う。役者はすべて人形の仮面をかぶり、人形のように動く。そのため、血生臭いシーンも滑稽味を帯びている。

 

・「コストニツェ」
1970年/チェコ/10分
監督・脚本・美術:ヤン・シュヴァンクマイエル
撮影:スヴァトプルク・マリー
音響効果:イヴォ・シュパリ

14世紀のペスト死亡者や、15世紀のクトナー・ホラの戦いの死者の骨を始めとする数万人の人骨を収拾し、オルリークのシュワルツェンベルク公爵によって完成された納骨堂に関するドキュメンタリー的な作品。

 

・「レオナルドの日記 」
1972年/チェコ/12分
監督・脚本・原案:ヤン・シュヴァンクマイエル
音楽:ズデニェク・リシュカ

レオナルド・ダ・ヴィンチのデッサンや図面がアニメーションとして動き、それに合わせて崩れ落ちるビルや回転するモデル、割られるスイカなど、数秒ずつの映像がニュースフィルムなどからコラージュされる。

 

・「アッシャー家の崩壊」
1980年チェコ/16分
監督・脚本:ヤン・シュヴァンクマイエル
撮影:ミロスラフ・シュパーラ
ナレーション:ペトル・チェペック

触覚を意識した代表的作品。ポーの原作を朗読と実写とアニメーションで描く。最愛の妹の死期が迫るアッシャーは、青ざめ変わり果てていた。「すべての無機物にも知覚がある」と語るアッシャー。彼に呼応するように屋敷も朽ちていくのだった。

10/24(月)18:45~
10/30(日)18:15~
11/3(祝・木)18:15~

 

|当日一般 1,500円 / 学生・会員1,000円 / 当日2回券 2,400円(期間中有効)
※『サヴァイヴィング ライフ ―夢は第二の人生―』(京都シネマ、第七藝術劇場、元町映画館にて上映)の半券チケットご持参で、1,200円に割引!